STORY

愛する妻と、まともな仕事。ささやかな日々の幸せ─。それがハンク・ミッチェルにとってどれほどかけがえのないものだったか、まだその時の彼には分かっていなかった。ある雪の日、ふとした事から、400万ドルを越える現金と死体をのせた墜落機を見つけたハンクと兄のジェイコブ、そして彼の友人ルー。何も危険がなく、誰にも害が及ばない事を自らに納得させ、3人はその金を保管し、いずれ自分たちで分けるためのごくシンプルな計画を立てる。だが、その時からハンクの悪夢は始まっていたのだった。そして妻のサラまでが─。四者四様の状況の中で、待望の娘が誕生したサラにとってはまさに母の底知れぬ力が芽生えはじめ、次第にその渦の真中に大きな影を映してゆくのだった。始まりは単純にみえた事件はハンクの“ちょっとした思い付き（シンプル・プラン）”によって思わぬ方向へと転がり始め、ドミノ倒しのように、次々と事件を引き起こす。そして、狂い出した歯車は、人間の心の奥底に潜む欲望を容散なく引きずりだし、驚愕のラストまで、一気に突き進む。